福岡が雪が少ない理由


冬になるとよく、西高東低の気圧配置となり日本海側に雪をもたらします。

 

今日も日本海側ではかなり積雪が多くなっていました。

 

ただ、よく天気図を見てみると福岡周辺にはほとんどレーダーエコーがかかっていません。

 

なぜ福岡にはかからないのでしょうか。。。。

 

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その理由には、日本海の大きさが影響しています。

よく雪が降る、北海道・北日本・北陸は、中国・ロシアの対岸からかなり距離が離れており(およそ800KM)、その間には日本海が広がっています。

そのため、冬型の気圧配置の時は、多くの水分を補給できるため、雪雲が発達しやすく雪をもたらしやすいのです。

 

しかし、福岡を見てみると、朝鮮半島からの距離が短いため(およそ200KM)、日本海から水分を補給しきれずに達するため、雪ぐもが発達しにくいため、福岡周辺には、レーダーエコーが観測されていません。

 

下図をよく見てみるとわかりやすいですが、

北日本では、日本海側にかなり多くの雲が広がっていますが、

福岡周辺の日本海側には、雲はほとんど広がっていません。

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要するに、福岡が雪が少ない理由としては、

雪ぐもを発達させるために必要な水分を日本海で補給できずに達するため、同じ日本海側でも雪が降りにくいのです。

 

西高東低の冬型の気圧配置とは

冬になるとよく(西高東低冬型の気圧配置)を耳にします。

 

どんな天気図になるかというと、名前の通り、

西に高気圧(シベリア高気圧)、東に低気圧があり、等圧線が縦に伸びる気圧は位置になります。

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この天気図になると、日本海側に雪・またはみぞれ・雨をもたらします。

 

12/15の本日の天気でも日本海側にエコーが断続的にかかっています。

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なぜ日本海側だけにエコーがかかっているのかというと、

大陸(シベリア)から冷たい空気が日本に運ばれてくるためです。

 

風は等圧線に沿って吹きます。

高気圧は時計回りに風が吹くため、冬型の気圧配置の時は、

北から北西寄りの風が吹きます。

そのため、シベリア大陸から冷たくて乾いた空気(シベリアは寒冷地域であり、大陸なので水分がない)が流れて、

日本海に達した時に、海水から水分を補給するため、雲ができ、日本海側に雪をもたらします。

 

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また、雪になるかみぞれになるか、雨になるかの判断材料は、

500hpaで−30度 850hpaで−6度 地上で大体3−4度と言われています。

 

そのため天気図で判断するときは、高層天気図を元に確認します。

 

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上の天気図が500hpaの天気図・下が850hpaの天気図です。

500hpaにおける−30度の線が北日本南部から、北陸までかかっており、

850hpaにおける−6度の線は九州南部にかけてかかっています。

 

そのため、北海道から北日本、北陸方面は雪が降っており、

中国地方の日本海側では、−6度のみかかっているので、雪またはみぞれが降っています。

 

西高東低といっても、必ず雪が降るのではなく、上空および地上の温度によって雪になったり、みぞれ・雨になるのです。

 

簡単にまとめると

・ 西高東低の気圧配置は、西に高気圧・東に低気圧があり等圧線が縦に伸びる気圧配置のことで、日本海側に降雪・降雨をもたらすもの

・ シベリアから冷たい空気が日本海に流れることで、水分を補給し、日本海側に降雪・降雨をもたらす。

・ 雪または雨になる基準は、500hpaで−30度、 850hpaで−6度の温度線がかかっているかどうかで判断ができる。

 

となります。

 

西谷の時になぜ低気圧は発達するのか

 

◯ 低気圧の種類

低気圧は大まかに分けて二つ存在します。

 

一つ目が、温帯低気圧です。

温帯低気圧とは、暖かい空気と冷たい空気がぶつかってできる低気圧です。

暖かい空気→南からの空気(北よりも南の方が暖かいため南から吹く風は暖かい)

冷たい空気→北からの空気(南よりも北の方が冷たいため北から吹く風は冷たい)

また、温帯低気圧は、前線構造を持つのが特徴の一つです。

 

2つ目が、熱帯低気圧です。

熱帯低気圧とは、暖かい空気のみでできる低気圧です。(台風の卵となるもの)

また、熱帯低気圧は、前線構造を持ちません。

(前線は暖かい空気と冷たい空気、いわゆる異なった気団がぶつかった場所にできるため、暖かい空気のみでは前線を持ちません)

 

◯  低気圧が発達するときはどんな時????

1・上空の気圧の谷が西にずれている時

2・前面で暖気移流・後面で寒気移流がある時

3・前面で上昇流・後面で下降流がある時

 

1について、詳しく説明したいと思います。

上空の気圧の谷が西にずれていることですが、天気図で見た時に、

たとえば、北海道直上に低気圧の中心があり、

上空500hpaの天気図で気圧の谷が、沿海州(ロシア日本海側の沿岸)に位置していた場合、

この低気圧より、上空の気圧の谷が、西(左側)に位置していることになります。

この場合、低気圧は発達します。

 

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上空の空気は、等高度線に沿って吹きます。

上空は、南北の温度を統一にするために、北に張り出したり南に張り出したりすることで、

地球全体の大気の調整を行っています。そのため、上空の等高度線は蛇行し、気圧の谷・気圧の峰が発生します。

 

気圧の谷の部分では、空気がカーブするため遠心力が南に働きます。(車がカーブ左にカーブする時には右に遠心力が掛かるように)

そうすると、今まで、気圧傾度力コリオリの力が釣り合っていましたが、

そこに遠心力が加わることで、気圧傾度力コリオリの力+遠心力となります。

 

気圧軽度力を2した場合、コリオリの力のみの時は、

気圧傾度力2=コリオリの力2

となりますが、

 

遠心力を加味した場合、

気圧傾度力2=コリオリの力1+遠心力1となり、遠心力が加わることで、コリオリの力は小さくなります。

傾度風(実際に吹く風)については、傾度風=コリオリの力となるため、気圧の谷の部分では、傾度風は1となります。

 

他の場所(気圧の谷よりも西側の部分)については遠心力が少ないので、自動的に傾度風は2となるため、

気圧の谷の部分で空気の速度は、一番小さくなります。

 

逆に気圧の峰の部分では、

気圧傾度力+遠心力=コリオリの力となり、

同様の考え方をすると、

気圧傾度力1+遠心力1=コリオリの力2となるので、

傾度風は、傾度風=コリオリの力となり、2になる。

 

そのため、気圧の峰の部分では空気の速度が一番早くなります。

 

空気が遅いと言うことは、気圧の谷の部分手前で空気がたまる(前の車が遅いと玉突きで渋滞していくように)。

空気がたまると言うことは、上空で空気が行き場を失って、下降する。

 

空気が早いということは、気圧の峰の部分で空気が少なくなる。

空気が少なくなると、空気を補うために地上から空気を補給する。

補給するということは、地上から上空に空気を運ぶため、上昇気流が発生する。

 

低気圧は、上昇気流があるとまだまだ発達するので、

低気圧より気圧の谷が西に傾いている=気圧の谷の前面に低気圧があれば、

その場所は上昇気流があるため、低気圧は発達することとなります。

 

まとめると

なぜ、低気圧より西に気圧の谷があると低気圧が発達するかというと、

気圧の谷の前面には、上昇気流があり、上昇気流の位置に低気圧があるため、低気圧は発達する。

ということになります。

 

高気圧とは

 

高気圧には、大きく分けて二つの高気圧(寒冷型高気圧・温暖型高気圧)、その二つの中に4種類の高気圧があります。

 

寒冷型高気圧

・シベリア高気圧

・移動性高気圧

オホーツク海高気圧

寒冷型は下層に寒気があり降下した空気が地上で発散される。発散されることで地上に空気が無くなるのでそれを補うために上空から空気が補充されます。

寒冷型は、背の低い高気圧です。

 

温暖型高気圧

・太平洋高気圧

ハドレー循環の結果、風が集められ、それが行き場を失って降下する事で出来る高気圧。

断熱圧縮により、温度が上昇する事で暖かい高気圧になります。

温暖型高気圧は、背の高い高気圧です。

 

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● シベリア高気圧

冬に西高東低を作り出す気団。

特徴としては、日本海側に降雪を伴わせる。太平洋側には、乾燥した晴天が続く。

 

● 太平洋高気圧

日本の夏を支配する気団。

・ 南高北低で暑い晴天が続く。日射により山間部では局地的な熱雷がある。

・ 高温多湿で、しゅう雨性の雨や、集中豪雨等が見られる。

 

 

● 移動性高気圧

   春や秋に多く本邦を通過する。

 

オホーツク海高気圧

梅雨の原因となる高気圧。ヒマラヤ山脈で二手に分かれた亜熱帯ジェット気流オホーツク海上で収束することで下降気流が発生し、高気圧を発生させる。また親潮の影響で、冷たく湿った高気圧となる。

 

なんで低気圧は天気が悪いの???

 

よく天気予報で、

「低気圧の影響で天気は下り坂です」

とよく聞くと思います。

 

それを聞いて天気が悪いから傘持って行くかぁとか洗濯物入れなきゃってなりますよね😭

 

本題に戻りますが、

天気が悪い=雨・雲が広がっている

となると思います。(天気がいい日は雲や雨がない晴れてる日を言うので)

 

なのでまずは低気圧=天気が悪いを考える前に、雲や雨はなんでできるのかを先に簡単に説明します!

 

● 雲の出来方

まず簡潔に説明すると、雲ができる要因としては、大気中にある水分(水蒸気量)がその大気中で持つことができる水分より多く存在していた場合、その大気で持つことができなくなりそれが溢れて雲になります。(ざっとしすぎましたが…)

その大気で持てる水分量は、温度によって決まります。

中学とかの授業で習うと思いますが、その空気が持てる水分量のことを、飽和水蒸気量といい、その空気が持てる水分量と飽和水蒸気量が一致したときのことを露点といいます。

 

つまり、その大気にある空気の温度と露点に達するときの温度が一致すると雲ができるまたはできやすくなるのです。

気温=露点温度

 

その空気が持てる水分量(飽和水蒸気量)は、温度が高い方が大きく、温度が低いと小さくなる性質も持っています。

例えば、気温が10℃、露点温度が15℃だとすると、

(例として1℃で持てる水分量を10とします。)

気温が持てる水分量は、100

露点温度(現在その空気が持っている温度)150

となるわけです。

 

そうなるとその空気が持てる100より水分が50ほど多くなりそれが溢れて雲・雨になります。

 

逆に、気温が20℃ 露点温度が15℃だと、

気温が持てる水分量は 200

露点温度(現在その空気が持っている温度)150

となります。

 

そうなると、その空気が持てる水分量よりも50少なくなるので、大気中に水分が溢れ出なくなり雲・雨ができなくなるわけです。

 

まとめると、露点温度よりもその大気の温度が高ければ、雲はできない。逆に、露点温度よりもその大気の温度が高ければ雲はできる!となります。

 

では本題に戻ってなんで低気圧は天気が悪いのかに移ります。

 

まず低気圧と高気圧の大きな違いは、上昇気流か下降気流かどうかです。

高気圧は、上空で溜まった空気が行き場を失って地上に降りてくるため、下降気流があります。

 

逆に低気圧は、地上で集まった空気が行き場を失ってそれが上空に上がるため、上昇気流が起きます。

 

先ほどの雲の説明で、温度が低くなると持てる水分量は減るといいましたが、

上空に行けば行くほど空気は冷たくなります。(富士山の山頂に近づけば近づくほど寒くなる🗻)

 

例えばある高度で、気温が10℃ 露点温度が10℃があるとします。それが上空に持ち上げられて5℃になったとします。そうすると、水分量は変わらないので、

気温5℃ 露点温度10℃となり、気温よりも露点温度のほうが高くなります。

そうなると、雲ができやすくなります。

 

その反対に、その空気が下がることで、気温が15℃になると、気温よりも露点温度が低くなるので、空気はまだまだ水分を持つことができるのため、水分は溢れず、雲はできなくなります。

 

先ほど低気圧は上昇気流があると説明しましたが、上昇気流があるということは、温度が低くなって持てる飽和水蒸気量が減ります。

そうなると雲・雨が降りやすくなり天気が悪くなるわけです。

 

高気圧は、下降気流があるので、下降することで持てる飽和水蒸気量は増えるため、雲ができず天気は良くなります。

 

そのため、低気圧は天気が悪くなるわけです。

 

結論

低気圧は上昇気流があり、空気が持ち上げられることで温度が下がり、その空気が持てる飽和水蒸気量とその空気の水分が一致した時に雲ができやすくなる

と言うわけです。