西谷の時になぜ低気圧は発達するのか
◯ 低気圧の種類
低気圧は大まかに分けて二つ存在します。
一つ目が、温帯低気圧です。
温帯低気圧とは、暖かい空気と冷たい空気がぶつかってできる低気圧です。
暖かい空気→南からの空気(北よりも南の方が暖かいため南から吹く風は暖かい)
冷たい空気→北からの空気(南よりも北の方が冷たいため北から吹く風は冷たい)
また、温帯低気圧は、前線構造を持つのが特徴の一つです。
2つ目が、熱帯低気圧です。
熱帯低気圧とは、暖かい空気のみでできる低気圧です。(台風の卵となるもの)
また、熱帯低気圧は、前線構造を持ちません。
(前線は暖かい空気と冷たい空気、いわゆる異なった気団がぶつかった場所にできるため、暖かい空気のみでは前線を持ちません)
◯ 低気圧が発達するときはどんな時????
1・上空の気圧の谷が西にずれている時
2・前面で暖気移流・後面で寒気移流がある時
3・前面で上昇流・後面で下降流がある時
1について、詳しく説明したいと思います。
上空の気圧の谷が西にずれていることですが、天気図で見た時に、
たとえば、北海道直上に低気圧の中心があり、
上空500hpaの天気図で気圧の谷が、沿海州(ロシア日本海側の沿岸)に位置していた場合、
この低気圧より、上空の気圧の谷が、西(左側)に位置していることになります。
この場合、低気圧は発達します。
上空の空気は、等高度線に沿って吹きます。
上空は、南北の温度を統一にするために、北に張り出したり南に張り出したりすることで、
地球全体の大気の調整を行っています。そのため、上空の等高度線は蛇行し、気圧の谷・気圧の峰が発生します。
気圧の谷の部分では、空気がカーブするため遠心力が南に働きます。(車がカーブ左にカーブする時には右に遠心力が掛かるように)
そうすると、今まで、気圧傾度力とコリオリの力が釣り合っていましたが、
そこに遠心力が加わることで、気圧傾度力=コリオリの力+遠心力となります。
気圧軽度力を2した場合、コリオリの力のみの時は、
となりますが、
遠心力を加味した場合、
気圧傾度力2=コリオリの力1+遠心力1となり、遠心力が加わることで、コリオリの力は小さくなります。
傾度風(実際に吹く風)については、傾度風=コリオリの力となるため、気圧の谷の部分では、傾度風は1となります。
他の場所(気圧の谷よりも西側の部分)については遠心力が少ないので、自動的に傾度風は2となるため、
気圧の谷の部分で空気の速度は、一番小さくなります。
逆に気圧の峰の部分では、
同様の考え方をすると、
傾度風は、傾度風=コリオリの力となり、2になる。
そのため、気圧の峰の部分では空気の速度が一番早くなります。
空気が遅いと言うことは、気圧の谷の部分手前で空気がたまる(前の車が遅いと玉突きで渋滞していくように)。
空気がたまると言うことは、上空で空気が行き場を失って、下降する。
空気が早いということは、気圧の峰の部分で空気が少なくなる。
空気が少なくなると、空気を補うために地上から空気を補給する。
補給するということは、地上から上空に空気を運ぶため、上昇気流が発生する。
低気圧は、上昇気流があるとまだまだ発達するので、
低気圧より気圧の谷が西に傾いている=気圧の谷の前面に低気圧があれば、
その場所は上昇気流があるため、低気圧は発達することとなります。
まとめると
なぜ、低気圧より西に気圧の谷があると低気圧が発達するかというと、
気圧の谷の前面には、上昇気流があり、上昇気流の位置に低気圧があるため、低気圧は発達する。
ということになります。